2007年09月20日

梅田望夫「ウェブ進化論」(ちくま新書)

えーー、恥ずかしながら今頃になって、この話題の本を読んでみた。このところブログを書くのが一番の趣味になってしまって、ここではなく「ものぐさ将棋観戦ブログ」を中心に書いている。しかし、ほとんど一方的に言いたいことをたれ流して、読んでくれる人に読んでもらえばいいや、程度のことしか考えてないもので、ウェブ自体についてほとんど興味もないし、その結果当然無知もはなはだしい。「WEB.2.0」、何それ、ってなもんで。
という人間なので、とにかく勉強になったし、知らないことばかりなのでかなり興奮しながら読み終えたわけです。したがってウェブ自体について何か言うのは到底無理。すこし一般的な話題「総表現社会」、「不特定多数無限大への信頼」あたりについて、素朴に感じたことを書いてみる。
まず、「総表現社会」について。具体的に私が関わっている将棋に即して考えてみる。まず「情報の共有」ということについては、間違いなくウェブはとんでもない効力を発揮している。プロ棋士のブログがたくさんあり、様々な情報を発信する多くの一般のブログがあり、ブログではないが、ネットによるプロ将棋の中継と、あわせて十分な解説の提供がある。将棋ファンにとっては楽園状態だ。
一方「表現の質」ということについて。正直言って、一般者の将棋ブログで「これは」といえるのは、本当に数え上げたらすぐ終わるという程度しかない。いや、それどころか、将棋を伝える専門であるはずの「表現者」のメディア側についても、本当に読めると思えるものはほとんどない。これは、こと将棋にとどまらない。自分が興味のある、音楽、映画、思想などについても、ごく一部の突出した優れたブログか少数あるだけ。やはりネットではない専門の表現者の方も、かなり心もとない。
多分、ウェブの問題ではなく、専門の人間も含めての、全体的な質の劣化が本質的問題なのではないかと思う。別に私は「衆愚社会」を嫌悪するといった類のイヤな人間じゃないつもりだけど。専門的な表現者を含めた社会自体がそういう状態だと思っているので、それを母体にするウェブに楽観的な考え方をすることが出来ないのだ。
ウェブに期待できるのは「情報の共有」のジャンルに限定されていて「表現の質」の方については最初から期待しないほうがいいのではないかという、すごく頭の固い古臭い考え方である。こうして専門の表現者でもないのに、ブログで好きなことをいう機会を与えられていながら我ながら恩知らずだとは思うが。
「不特定多数無限大への信頼」について。これについても、何が信頼できて何が信頼できないか、ウェブに何が向いているか、向いていないかの区別が大事だと思う。情報を一部の人間が、囲い込んだり占有することにたいする突破口にウェブはなるかもしれないとは思う。また、管理されつくされている現行メディアには決して現れない人間たちの率直な意見が聞ける場になるかもしれないとも思う。しかし、そういう管理から逃れた個々の声が聞ける場としては貴重でも、それが集団となって高い集団知の叡智に達するかというと、やっぱり疑問を覚えてしまう。権力側が、守旧的で支配的だとしても、一般の集合知も、ごっちゃになるとやはりそれに劣らず危険な猛獣と化すという、ふるーーい考え方をしているのだ。この問題についても、管理されない個別の情報を共有するという役目については、すごく期待するけれど、それを束ねて何かをもたらすということは期待しないほうがいいと思う。但し、適したジャンルとそうでないものがあると思う。例えば、本書で紹介されているソフトのオープンソースについては、明らかに適した分野だ。しかし、例えば政治的な世論の形成については、役に立たないどころか危険だと思う。別に大衆に対して侮蔑的な考え方を持っているつもりは全くなくて、そもそも集合的な世論というのが本来そういう性格のものだと思っているので。これまた、古典的なありきたりの考え方で申し訳ないが。
それと、気になったのは「グーグル」が推進している個人の情報を「あちら側」におくというやり方。心配性な私などは、そういう「あちら側の世界」が悪意のある人間に利用されたらということを考えてしまう。実際グーグルの上層部は、良心的な人間で現在はそういう恐れはないようだが、むしろ悪用しようとする人間のほうが一般的には多いのではないかと考えてしまう私は、やはり徹底的なペシミストである。オーウェルの1984の影響が強すぎるのかもしれない(笑)。
私は将棋を通じて梅田さんを知ったのだが、梅田さんのことが人間的にとても好きなのだ。本書でもそうだが、底抜け楽観的で明るくて活気があって少年のようなところがあって。私に欠けているものを全て持っている(笑)。そういういい意味のオプチミスト梅田さんの書いたこの本を読んで、ぺシミストぶってみたくなっただけのことである。
それより何より、ウェブについてもっと勉強しようと思った。この本だけ読んで感じた表面的な、初歩的な感想を素直に書いてみた。こうして書き散らしてきたことにも、きっと無理解ゆえの誤りも多々あるのに違いないと思う。これからいろいろ読んでみるつもりである。
posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評
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