2011年03月05日

山田洋次監督「男はつらいよ 寅次郎と殿様」第十九作メモ



「寅の夢」は、嵐寛寿郎にちなんで「鞍馬天狗」篇。敵が次々に自滅していくギャグ。戦いの最中にさくらが「どうしたの、おにいちゃん、ももひきなんてはいて」ととぼけて言うギャグつき。ついに夢の中にまでギャグだらけである。

「江戸川オープニングサイレントコメディ」は、グラビア撮影のフィルムを白日の下ひっぱりだして大騒動になる篇。それをよそに寅が逃げ去るというパターンが増えてくる。

キャスト字幕は、嵐寛寿郎を差し置いて三木のり平がトリ。そういう位置づけなのか。

冒頭の犬に「寅」とつける脚本が実によく出来ていて笑う。特におばちゃんがポイントの面白セリフを連発。@おいちゃん「そろそろ帰って来るかな。」おばちゃん「ポチかい。いや違った、寅さんかい。」Aおばちゃん「寅、ごはんだよ、寅っ」寅「犬みたいに呼ぶなよ。」そして博の「寅、なんだこんなところにクソして」。と寅の反応といったら。Bおばちゃん「あらっ、おんなじ名前だねぇ、あたし、ちっとも気がつかなかったよ。」そんなわけないと。「寅ちゃん漢字だしねぇ。」フォローになってないし。Cおばちゃん「そんな犬かわいがらなくたって、うちには立派な寅ちゃんという犬が、いや人間がいるんだからねぇ。」そして寅の反応(笑)。そして何とかおさまったところにKY社長が「とら、とらとら」とやってくる御馴染みのパターン。Dおばちゃん「だからポチに変えたほうがいいっていったんじゃないか。」今更そんなこと言ってもというオチ。

寅も、鯉幟騒動で一度は怒るが、若い時ならすぐ飛び出していたところを、一度はこらえて二階へ。少しは成長したか。でも、犬の寅騒動では我慢できなくなるのだ。

寅の正式な「それをいっちゃあおしまいよ」は初めてか。今までは「おしまいだよ」とか微妙に違っていた。でも、今回はおいちゃんのセリフが「出てゆけ」ではないので、実はパターン確立まで結構月日を必要としているのだ(笑)。

真野響子は、そのまま現在でも通用するタイプの美人で色っぽくていいですね。

寅がかっこよく真野響子に鮎をプレゼントするが、寅が隣の部屋で反応をうかがって盗み聞きしているのがいやらしい(笑)。

旅一座の娘役の岡本茉利が配達人役でチラッと出てくる。

三木のり平は、あの強烈な容貌で、ちょっと「男はつらいよ」的でないコメディセンスで毒気を発している感じ。忠臣蔵パロディでも、意外なオチで。なんとなく三木のアドリブっぽい。

そして
、次は水戸黄門のパロディと。

「寅のアリア」は、寅が駆け落ちして旅先で病死するパターン。おばちゃんが真面目に同情するのが笑える。おばちゃん大活躍。おいちゃんが変わってからコメディ担当の負荷が増えた感じ(笑)。


嵐寛寿郎と真野響子が夕暮れの江戸川のほとりの道を二人で歩いてゆく後姿はワイエスの絵のようだ。

寅が真野響子と結婚した妄想したミニアリアをした後に博が冷静そのものに「自分のことを言っているんですね。」というのが妙におかしい。

殿様の手紙に「即ち私の友人にして最も人格高潔清廉潔白なる人物、車寅次郎くん」というのは、まさしく本当のことを言っているのだ。そして、博が「あれっ、へんだな」と真顔で言うのに腹を抱える。

実は寅がはっきり振られる回は意外に少ないのだが、今回は久々に分かりやすく振られる。長山藍子マドンナの回とパターンが似ている。マドンナが寅の気持に気づいていないで残酷なことをぃってしまうところも同じだ。そして寅が珍しく結婚する気になったところも。
寅の失恋パターンも分類できそうである。リリーや八千草薫のように逆プロポーズされて動揺して絶好球を見送ってしまうパターンなど。




posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 男はつらいよ
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