2011年02月28日

山田洋次監督「男はつらいよ 寅次郎子守唄」第十四作メモ



「寅の夢」。寅が今までのヒーローではとは違って語りと産土の神役。四角い顔した神様である。夢がどんどん過激にエスカレートしていく兆?ちなみに、博とさくらに子こがないのは、おばちゃんに子がないのとつながる。フロイド的な夢の変形である。そして二人が子どもを願って夢の中でするお百度参りを、おばちゃんが博の腕の無事を祈ってする。こういう関連をもたせたがるのが、「男はつらいよ」の本の特徴。

オープニングは珍しく江戸川沿いの土手道ではなく旅先。

さくらが必死に自転車で走るシーン。倍賞千恵子は、不安な表情が意外によく似合う。実はサスペンスドラマ向き(笑)?

三代目おいちゃんの下條正巳登場。初登場だがセリフも多く重要なものも。おいちゃん一人変るだけで、とら屋の家族のシーンの雰囲気が全然変わってしまう。やはり、風格とか品とか味があって、長くやったこともあっておいちゃんは下條正巳のイメージがある。個人的には森川信おいちゃんが大好きだけれども、シリアスな風味を出すためには下條正巳が欠かせない。本当にいい顔をしている役者さんですよね。

御前様の「こまった」とか「ははははは」というスローモーな独特な笑い方もこの辺りからだろうか。

「寅のアリア」は自分の葬式の妄想。相変らずディテールが明確で説得力ある語り。

月亭八方若い。ちょっと下手かなぁ。

寅をマドンナと引き合わせまいとするパターンは、喫茶店の池内淳子以来か。

岸恵子、吉永小百合と寅と恋愛関係になるのが考えられないタイプのマドンナが続いたので、十朱幸代は、明るく優しく庶民的で、まぁ男はつらいよのマドンナ的なマドンナである。

寅の家族に怒ったり、マドンナにデレデレしたりを繰り返す二面性の演技は渥美清のお得意とするところだ。極端な切り替えが見事に分かりやすくて笑える。

寅がマドンナに会いに行くのを、家族に被害妄想的に気にするおなじみなパターン社長が「ごゆっくり」というのに噛みつき、全員で゛「いっといで」と声をあわせるパターン。寅の「風呂に行くんじゃねえよ」とか「雀の学校じゃねぇんだよ」というツッコミがおかしい。

十朱幸代が「雨降って痔固まる」とか言わされている。山田洋次はこういうのが好きなような気がする。

「源ちゃん」は正式の氏名も分からないことが判明。寅以上に不幸な境遇なのだろうか。源ちゃんの謎。

源ちゃんの顔に口紅の落書きしたのはかなり破壊力がある。

上條恒彦が十朱幸代にプロポーズするシーンは、博がさくらにプロポーズするところとよく似ていますね。上條恒彦はいい声している。なぜか「寅の夢」の海賊船バージョンに米倉と一緒に出ていた。そういえば、上條も米倉も、寅の恋の指南を受けたつながりだ。片方はダメで、片方は「ひょうたんから駒」でうまくいくのだが。

寅は上條恒彦に「二枚目だ」といわれたりする。一方、上條恒彦はおばちゃんに「あれじゃ寅ちゃんの方がましだ」とか「ひげ中顔だらけ」とかひどい言われようである。ちなみに、「ひげ中顔だらけ」は初代おいちゃんの「まくら、さくらをだしてくれ」を連想させるのであった。








posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 男はつらいよ
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