2011年02月27日

山田洋次監督「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」第十三作メモ



吉永小百合アゲイン。前回の若いわりと無邪気な娘より、こちらの方が断然いいですね。

「寅の夢」、現代もので寅が結婚までする。博の演技が、普段以上にクサくて笑えます。

吉田義夫が夢に出てこなくてガッカリするが、電車で寝る寅によっかかられてはねのける老人でちゃんと登場する。右のおばあちゃんの武智豊子は女エノケン」と呼ばれた方なんですね。

オープニング江戸川沿いは、ラジコン飛行機を落としかけ、カップルにつまづきカバンを間違える軽い感じ。でも、引きの絵で寅の動きだけでも面白い。

おいちゃんが寅と結婚する夢をみて「寅の夢」とつながるが、夢ではおいちゃんは殺されていたな。細かいネタ。

寅のアリア、風景が目に浮かんでくる。渥美清は落語やらしたら相当うまかったんじゃないかしら。

絹代の高田敏江は『3年B組金八先生』にも出ていたんですか。

さくらとタコ社長が寅と旅行で同行する。さくらも結構寅のために旅に出ていますね。そして、旅のシーンが似合う。

鳥取の海岸の寅をひきで撮っているのがとてもいい。本当に自然の中の寅が絵になる。あの寅の格好は拭くも帽子もカバンもオシャレなんだな。

吉永小百合は、やはり不幸な境遇の役が似合いますね。寅との出会いのシーンからして美しいです。何度も言うけど吉永夢千代は本当によかった。

家族が「歌子」と聞いて、「豆腐屋の娘か、津軽の娘、それは秋子、それは幼稚園の先生」といい合うのがおかしい。どれだけ恋多き男で、家族も誰が誰だか分からなくなっているんですかと。

寅が歌子のことを心配するところに、おいちゃんが「寅、ちょっと疲れているんじゃないか」の一言が笑える。

寅は、今回は「恋の病」でなく「恋やつれ」ですか。それをネタに、家族が、「社長は税金やつれ、博は労働やつれ、おばちゃんたちはお団子おつれ、さくらは寅やつれ」といって笑いあうが、確かにあれはひどくて寅が階段から降りてきて怒るのももっともで
る(笑)。

写真を撮る際の「バター」や「笑って。泣いて」を振り返るのが完全にシリーズですね。

この回は吉永小百合が美しい、寅家族の優しさに泣いているのかと思ったら、笑っているのには裏切られる。と思ったら、今度は寅が歌子を見てしみじみする。結構山田演出は、ひねくれていて意表をつかれる(笑)。

さくらが宮口精二に会いに行くシーンがいい。さくらが別れてから、無愛想な不器用な宮口にため息をつくと、宮口がステッキをついして小走りで現れてさくらを駅まで送る。宮口の演じる父親の人柄が自然に伝わるという演出。宮口精二は前作ではあまり見せ場がなかったが、この作品では持ち味を十分出している。

寅が歌子にハンバーグをつくってもらってはしゃぐのがかわいい。この辺りまで来ると、渥美清の表現もすっかり形が出来てきて、どんどん寅がかわいくなっていくのだ。

階段で
歌子を見送る寅が階段に片足をかけるポーズとか、さくらに歌子を連れて行かれてすねる寅の表情とか。もう芸術だ。

宮口精二と吉永小百合の和解のシーンは、普通に泣けますね。

寅と歌子の別れのシーン。夕方や夜にマドンナのもとを、ひょっこり訪ねて、家にはあがらずに縁台に腰掛けるというお得意のパターン。二人で花火の話ばかりするのがいい。

浴衣の吉永小百合は確かに本当に美しい。寅がまた思っていることを言葉に出してしまう病気が出て「浴衣きれいだね」と言葉に出してしまうのももっともだ(笑)。

この回は失恋じゃなくて人助けですね。こういうパターンが増えてくる。 伊藤蘭の回とかもそうだった。

最後、吉永が寅が島に来ると信じているというネタフリがあって、寅が海岸にやってきてひきで映して近くに来ると絹代というのには、完全に騙された。歌子に会いに行かないというのは正しいラストだけれど、マドンナの檀ふみに実際に会いに行っちゃうというのもあって、別に寅なら会いにいっても構わないというところもある。やっぱり、寅は基本的に「男」ではなく「天使」なのだ。






posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 男はつらいよ
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