2011年02月26日

山田洋次監督「男はつらいよ 私の寅さん」第十二作メモ



「寅の夢」。どんどん吉田義夫にハマッてゆく私がいる。寅に撃たれて倒れる大袈裟な演技が、旅芸人一座の座長と重なる。

オープニングは、寅が蝶をつかまえようとして女性に網をかぶせていまうホンワカバージョン。蝶をつすまえようとするシーンは岸恵子との別れのシーンでも出てきますね。

旅行先での、猿山の仲間はずれの猿が本当に寅に似すぎている。よくめっけたもんだ。

二代目満男の中村はやとが電話口で喋るシーンがあってセリフデビューしていますな。

二代目おいちゃんの松村達雄も、ようやく堂にいってきて、電話で寅とケンカするシーンは笑える。

前田武彦はさくらさんに気持がられるように痴漢ぽくって素晴らしい(笑)。

岸恵子は、出会いで寅に怒り散らすところが一番素晴らしいかな。しつこく、くま、かばというあたり。寅が「にくったらしいなぁ、あぁぁ、いやだ」というところの渥美清調がいい。リリー相手にメロン事件で怒るところと感じが似ている。

「インテリ女と便所のナメクジくらいいやなもんはねぇんだ。」というせりふがすごい。

岸恵子を見送って寅が手を振り、さくらが後姿の夕焼けの絵は美しいですね。寅のあのファッションは自然の風景に不思議と映えるのだ。

津川雅彦も本当にいやみったらしくて素晴らしい。

津川と岸が話そうとするところに、寅が呆然として座りこむところがかなりコメディとしてはよく出来ている。笑える。

寅が「今日はお開きということにして」という御馴染みのセリフはこの作品あたりからかしら。

博が、寅が恋するのは生きている証だと大真面目に言うのは、よく考えると(よく考えなくても)、すごいことを寅は言われていますね。
寅が岸恵子と倍賞千恵子の絵をかいて「キリギリスとらっきょう」というシーン。倍賞千恵子は、らっきょうと言われるのは、八千草薫マドンナの回に続いて二回目である。ひどい。おかしい。

岸恵子が失恋して「恋の病」になるが、それと全く同じ症状に寅がなる。この同じことが別の人にというのは「男はつらいよ」、お得意のパターンである。

そこに岸恵子が見舞いに来て、「さくら、おまえの顔までりつ子さんに見えるよ。声まで」というところは、笑えるけど、よく考えると(考えなくても)凄いシーンだ。完全に精神の病じゃないですか(笑)。

そして、そこに社長が超KYぶりを発揮して、岸に気づかず「寅さんは恋の病だねぇ」という。見事だ。そして、寅がおきてきて社長をしばこうとする。恋の病でねこんでいたんじゃないんかいっ。

寅が小戸川のほとりの土手で寝るシーンは、どの作品でも本当に絵になる。

源ちゃんが、寅につかれて土手をころげ落ちてゆく勢いがすごいですね。

寅に岸恵子が別れを言うしーん。池内淳子との別れのシーンと絵の構図が似ているが、ここでは岸恵子が言うべきことをはっきりいいすぎている。そういうマドンナという設定なんだろうけれど、やっぱり私は池内の方の繊細なシーンの方が好きだなぁ。

寅と別れた岸恵子がさくらさんに「いつまでもいい友達でいたかったのに、バカね寅さん」というところの、さくらさんの悲しそうな表情。これも、そういう性質のマドンナを描きたかったのかもしれないけれど、「さくらさん、そこも怒ってもいいよ」とちょっといいたくなる。

というわけど、私は寅以上に女性の趣味が保守的で、今回のマドンナについては、御前様の口調で「こまった」といいたくなるようなところがありました。寅さん、あんたにはこういう女性は似合わないよ、といいたくなるんだけれど、そういう女性もきちんと真剣に暖かく愛してしまうのが寅さんなんだなぁ。












posted by rukert | Comment(1) | TrackBack(0) | 男はつらいよ
この記事へのコメント
でも、第二作目の佐藤オリ江の確信犯とは大分に違うような。

最初から男勝りなキャラで出てきているし、寅の主人公の親友の妹としては、本気で惚れられるのは想定外だったと思いますよ。

云わなくていい事まできちんと言ってしまうって描写がこのヒロインの律義さも語ると同時に、逆に寅さんへのどうして?あなたは私と違って世なれていると思ったのにという、反語のように思えて、そんなに厭じゃなかったです。

顧客に媚びた吉永再登板や、とりあえずな感じのTVシリーズでの桜とひろしの長山藍子の回よりは全然マシだったと思いますよ。
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