2011年02月20日

山田洋次監督「男はつらいよ 純情篇」第六作



「寅の夢」はなし。そのかわりに「ふるさとは遠きにありて思うもの」ではじまる寅の語りで始まる。相変らず一人語りの説得力が抜群だ。

寅屋ファミリーが江戸川紹介のテレビに映るという設定。この中でもさくらさんは実に綺麗にとれている、白黒の「男はつらいよ」も、ちょっと見てみたかったか。

寅が赤電話で10円玉を次々に入れて話すおなじみのシーンが多分初登場。今はこういう小道具は使えない。赤色も映画に効果的な色彩だし。

宮本信子に旅館に泊まる金がないと言われて、「きなっ」という寅さんかっこえー。おっとこまえー。いきー。

旅館で宮本信子が自分の体で払おうとするところ、寅はやさしく諌めるが、後年なら純情な寅が一度は慌てふためくところがあったのではないだろうか。でも寅がさくらの話をして宮本信子を慰めるところはやっぱいいい。

森繁久彌は重厚な演技。最期寅が去った後に「あの人は体が悪いんだな、かわいそうに」というところは笑える。

寅が夕方の海辺の岩で後姿で座るところ、かっこえー。

マドンナは若尾文子。おいちゃんも入念に髪の毛をとかして気が若い。社長の言うように「あれは上玉だ」である。だだ、若尾文子はちょっと大女優の貫禄がありすぎて、「男はつらいよ」にはちょっとあわない所もある。あまり色々と活躍しないマドンナで、山田監督も色々遠慮したのかなど余計なことを考えてしまう。ちなみに溝口健二の「祇園囃子」での初々しい若尾が私は好きである。

しかし、改めて見直すとここでの若尾文子も大人の女性の魅力があってなかなか良い。マドンナではちょっと異色だけれども。江戸川を散歩して、寅にさりげなく断ろうとするのも今までのマドンナにないタイプだ。今までは、寅の気持に気づかなかったり、輪他って居ても無頓着だったので、なかなか面白いパターンだ。若尾の魅力をもう少しいかしてもらいたかったが、何となく山田監督好みのマドンナではないのかなという気がしてしまう。

若尾が寅の部屋に下宿するが、これは第四作の栗原小巻に続いて二人目。一体何人が寅の部屋に下宿したんだろう。すぐ思いつくのはリリー。あれは下宿じゃないか。

さくらさんが切れて寅が慌てて追いかけて、寅が「柴又に戻らないと決めても、気持が戻ってきちゃう」といってさくらさんが笑い出すシーンはとってもいい。なんという美しい兄と妹なのだろうか。

博の独立騒動でタコ社長の自宅が映るのが珍しい。奥さんや子供たちまで、絵に描いたような子沢山がおかしい。

寅が突然「恋患い」にかかる。二代目おいちゃんの松村達雄がスケベ医者役で登場。松村達雄はおいちゃんもいいけど、こういうバイプレイヤーでよりいい味を出しますな。

しかし、やっぱり若尾文子は美しいですな。自分が若いときに見た時にはあんまり良さがわからなかったんですけどね。また、声がすごい貫禄だ。

寅とさくらが柴又駅で別れる際に、寅が「故郷ってやつはよう、故郷ってやつはよう・・」で電車が出てしまうが何をいったんでしょうね。まあ、あれは故郷は言葉では表現できないものだということをいいたかったシーンなのでしょう。巧みな山田演出。
posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 男はつらいよ
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