2011年01月27日

小津安二郎 「お茶漬の味」雑感



1952年の作品。1951年の「麦秋」の次の作品であり、基本的に似たようなコメディタッチの映画である。
「麦秋」では、原節子の結婚をめぐって、兄と妹、両親と娘の関係が中心になるが、この作品では木暮実千代と佐分利信の夫婦の物語である。
小暮が小津作品では珍しいが、夫に対して腹を立てるシーンの迫力などみると、やはりはまり役である。小津も、そういう効果を狙ったのだろう。どんな男だって、木暮実千代にあんな剣幕でどやしつけられたらビビります。
といっても、夫婦の深刻な問題ではなく、ものの食べ方などちょっとした感覚の違いによる夫婦喧嘩、といてうよりは小暮が一人で怒っているのである。そして、最後は和解する。仲直りした木暮実千代が、ノロケ話をしまくって、淡島千景と上原葉子を辟易させるシーンはなかなか笑えるのである。
でも、「麦秋」と「お茶漬の味」のどちらをとるかというと、やはり「麦秋」になってしまう。冷静に考えるとコメディとしてのレベルは同程度のような気もするのだが。木暮実千代も素晴らしい女優だけれど、やはり小津映画には原節子が似合うということなのかなぁ。
それと、夫婦関係よりも血のつながりの関係がテーマとして小津に合うというのもあるのかもしれない。どちらも、基本はコメディなのだけれども、軽い話の中に深い奥行きをもたらすテーマとして、小津の場合は、他人同士の夫婦の関係よりも、もっと理屈抜きの原始的な血縁関係が向いている。小津映画は、さりげないどうでもいい話のようでいて、ひょっと人間の本能の根源の姿を垣間見させるところがあって、だから親子の本能的な関係が適しているといったら強引過ぎるか。
若き日の鶴田浩二が出ているのも珍しいが、ちょっと加瀬大周と似ていたりする。
笠智衆がパチンコ屋のオヤジで登場するが、その奥さん役で望月優子がチラッと登場する。この時期の映画を見ていると、同じ顔ぶれがいろいろな形ででてきて面白い。
小暮の女友達の、黒田高子役の上原葉子(小桜葉子)が、健康的な美人で、妙に人をひきつける存在感がある。私は知らなかったのだが、上原謙夫人で加山雄三のおっかさんだそうである。結構若い感じて、近い時期に黒澤映画に出ていた加山雄三との年齢関係がよくわからなかったのだが、ウィキペディアを読むと、19歳の時に加山を生んでいるそうだ。
そして、美容体操の元祖でもあるそうだ。小暮が佐分利に旅行先から電話して、「高子が病気なの」とウソをつくシーンで、その背後で当の上原葉子が元気一杯に伸びをして笑わせるのだが、その動きに妙にキレがあって納得させられたのであった。
それと、鶴田浩二がバーで飲んでいると、女給が画面に入ってきて佐分利信を「いらっしやい」と迎えるシーンがあるが、その女給が、北原三枝だそうである。石原裕次郎の奥さん、石原まき子である。
posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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