2009年01月15日

ピンクパンサー「暗闇でドッキリ」(ピーター・セラーズ、ブレイク・エドワース監督)



ピンクパンサー・シリーズ中、個人的には最も好きな作品である。なんてったってピーター・セラーズが、これでもかこれでもかと最初から最後まで古典的に格式高く馬鹿馬鹿しくボケまくるのである。たまりません。
登場シーンからして、「これがアホの顔です」という表情を完璧につくって画面に現れるのである。そして、車から降りるといきなり泉に落ちる。「アァー」という間抜けそのものの声で。
ジョージ・サンダース演じる大富豪とのビリヤードのシーンでも、いちいちいちいちこれでもかこれでもかというくらいボケ続ける。また、あのジョージ・サンダースが無表情で冷たく奇異な生き物を眺めるようにセラーズのアホぶりを見守り続けるのがたまらない。最後はドアと間違えて壁に頭をゴツンとぶつけるのだが、怒ったように「この建物の設計者には精神分析の必要があーる」とかわけの分からない捨て台詞をはくのである。あのヘンテコな発音の英語で。
他にも、得意の変装で尾行捜査をしようとするたびに逮捕されたり、ヌーディストキャンプから真っ裸でマドンナと車で帰る破目になったりと、名場面の連続である。
本作では「あの」ハーバート・ロムのドレフュス警部が登場。クルーゾーの上司なのだが、アホのクルーゾーがメチャクチャな捜査を繰り広げる上に、しかもクルーゾーの言うことが正しいかもしれない。登場第一作で既にクルーゾー憎しで精神を病んでしまう。この後のシリーズでは、ただクルーゾーを殺すためだけに悪の帝国を築き上げたりして、どんどんエスカレートしていくわけだが。
ピンクパンサー4で、ドレフュスがクルーゾーの弔辞を読む羽目になる場面は、コメディ映画史上でも有数の名シーンだろう。ハーバート・ロムのドレフュスは、ピーター・セラーズのクルーゾーと同クラスの奇跡である。本当に素晴らしい役者だと思う。怪演である。
最後に容疑者全員を集めてクルーゾーが犯人推理をするシーンも実によく出来ている。例によっていちいちいちいちボケるわけだが、ソファーから転げ落ち、大富豪夫人に「この間抜け」と言われて、
「私のやっていることは全て綿密に計算してのことなのです、奥様。」
と強がりを言うのだが、恐ろしいことに、ここでセラーズは本当のことを言っているのだ。セラーズの名人芸を堪能しようではないか。
posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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