2009年08月25日

映画 ニュールンベルグ裁判



NHKのBSで録画しておいたのを見た。設定はナチに協力したドイツの裁判官など司法関係者をアメリカから選ばれた裁判官が裁くというもの。実際のニュルンベルグ裁判全体を描いているわけでもないし、またそのままの事実とももかなり違うだろう。ニュルンベルグ裁判には、色々批判もあるし、それは戦争国際裁判の性格上やむをえないことである。そういう部分は基本的に描かれておらず、基本的にこの映画は事実にある程度基づいた完全なフィクションと受け取るべきだろう。しかし。題名が堂々と「ニュルンベルグ裁判」となっててしまっているので、そう割り切れない部分があるのだが。
勿論テーマは政治的な問題なのだが、そもそも映画の製作の仕方からして正確に論じるのは無理だ。ナチに協力したが法律家として人格者の評判の高い人間をバート・ランカスターが演じているのだが、やはり現実にはこんな人はいないと思わせてしまう。他も豪華キャストで、歴史上の現実の人間としてのリアルさより、マレーネ・ディートリッヒやモンゴメリー・クリフトという名前の実在感が上回ってしまっている。なおかつ人物描写にも映画特有の人物の単純化が行われていて、要するに現実の歴史を語る映画としての役割は最初から求めるのは、そもそも無理だと思う。
テーマとしては、ナチのような異常な政権下で、司法関係者はどうあるべきか、国民はどう処するべきか、戦勝国側は戦後ドイツに対してどう振舞うべきかといった事が取り上げられているが、残念ながら深いところまでつきつめて考えているとはいえない。名優たちの素晴らしい演技が見れるし、ストーリー的にも飽きさせないし面白く見られるのだが、やはり歴史上の問題を映画が描く限界を感じずにはいられなかった。一応、ナチやその協力者に対する一面的過ぎる図式化や戦勝国側の美化をしていないし、公平であろうと努力しているのはよく分かるのだが。
結局、マレーネ・ディートリッヒの気品と美しさを楽しむといった映画なのだと思う。それでも私としては十分である。
posted by rukert | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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